リストラティブヨガはプロップス(補助具)に体をあずけて緊張をほぐし、心身の健康を取り戻す効果が期待できるヨガです。全身を使ってポーズを取るヨガとは異なり、積極的に休息することを目的としています。最近よく眠れない・疲れが取れない人は、一度立ち止まって肩の力を抜いてみませんか?
本記事では、「究極の癒し」とも言われているリストラティブヨガについて紹介します。
リストラティブヨガとは
リストラティブヨガとは、プロップスを使って行うヨガです。1990年代に、アメリカの理学療法士ジュディス・ハンソン・ラサターによって考案されました。自身の筋肉を使って力強くポーズを取るヨガとは異なり、プロップスに体をゆだねて心身の緊張を解き、積極的に休息することを目的とします。
リストラティブヨガを行っている間は、頑張らないことが基本。自分の体の重みをプロップスにあずけて、深く呼吸をします。リストラティブとは「元気を回復させる」という意味です。健康な体と穏やかな心を持った「本来の自分」に戻ることを表しています。
日本にリストラティブヨガが入ってきたのは、2000年〜2005年頃のことです。ストレス緩和やリラックスに効果が期待できるとして、注目されました。現在では、セラピーとしてリストラティブヨガが行われることもあります。
なお、リストラティブヨガは、アイアンガーヨガから派生したものです。どちらもプロップスを使うのが特徴ですが、使う目的が異なります。アイアンガーヨガでは正確な姿勢を保つためにプロップスを使いますが、リストラティブヨガでは心身の緊張をほぐすために使用します。
<リストラティブヨガで使われるプロップス>
ボルスター |
円柱や長方形をした硬めのクッションのような補助具。お尻や背中の下に敷く・抱き枕のように抱える等の使い方をする。
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ブランケット | 体の下に敷いて負荷をやわらげたり、冷え防止のため体にかけたりする。丸めてボルスターの代わりに使うこともある。 |
ヨガストラップ |
手や足にひっかけて、ポーズを安定させるために使う補助具。 自分にあった長さや形状をえらぶことが大切。 |
ヨガブロック | 体の下に敷いて高さを出す・手に持ってポーズの補助をするなど、さまざまな使い方ができる補助具。 |
リストラティブヨガの特徴
リストラティブヨガは、深くリラックスできるのが特徴です。リストラティブヨガの最中に、つい眠ってしまう人もいるほどです。リストラティブヨガを行うと、ポーズを取るよりも内面を観察しやすく、瞑想状態に入りやすいと言われています。
また、リストラティブヨガは筋力や柔軟性がなくても行うことができるため、難易度が低く初心者にも取り組みやすいヨガです。カロリー消費は少ないものの、リラックスしたい人にぴったり。体に負荷をかけないので、高齢者や妊婦、疲労や不調が続いている方などにも向いています。
リラックス向けのヨガとして「陰ヨガ」もよく知られています。陰ヨガは中国の陰陽五行思想がルーツにあり、1つのポーズが3〜5分です。どちらも深いリラックス効果が期待できますが、体を動かさずにじっくり休息したい場合は、リストラティブヨガがおすすめです。
リストラティブヨガの注目すべき効果
プロップスを積極的に使い、深いリラックス状態を作るのがリストラティブヨガです。リストラティブヨガには、次のような効果が期待できます。
<ストレスを軽減させる>
ストレスがたまっていると気持ちが落ち着かなかったり、イライラしたりします。リストラティブヨガは体の緊張をほぐし、リラクセーション効果の高いヨガです。穏やかな心を取り戻すのに役立ちます。
<安眠へ導く>
過度な緊張やストレスの多い生活は、交感神経が優位な状態が続きます。体を休息させる時間に交感神経が優位なままでは、十分に休めません。リストラティブヨガを行うと副交感神経が優位になるため、質の良い睡眠につながります。
<姿勢の改善が期待できる>
プロップスを使って体を伸ばすと、関節の歪みが解消され、背筋が伸びます。姿勢の改善に効果的です。
<血行が良くなる>
プロップスを使って圧迫と解放を繰り返すことで、血流を促進させる効果が期待できます。冷えや肩こり解消や、疲労回復につながります。
リストラティブヨガの代表的なポーズ3選
リストラティブヨガではボルスターやタオルを体の下に置き、心地よく過ごせる位置に調整するのがポイント。ポーズが終わったら、頭が最後になるようにゆっくりと起き上がりましょう。
<シャバーサナ>
屍のポーズとも呼ばれ、ヨガレッスンの最後に行われるポーズです。リストラティブヨガでは普段より長く時間をかけ、心身をほぐしていきます。
- 仰向けになり、手足を心地よい幅に開く
- 目を閉じて、全身の力を抜く
- 呼吸に集中して、しばらくそのまま過ごす
ボルスターを背中の下に入れてシャバーサナを行うと、背骨や腰に適度な刺激が加わります。背中周りの筋肉が、心地よく伸びる感覚を味わいましょう。
体の力がうまく抜けない時は軽く頭を振ったり、手足を揺らしたりするとよいですよ。
<横たわった合せきのポーズ>
股関節周りの筋肉を緩めるポーズです。プロップスを使うことで胸が開き、より深く呼吸できます。
- 仰向けになり、足裏同士を合わせる
- 両手を体から少し離し、手のひらを天井に向ける
- しばらくそのまま過ごす
合せきのポーズは鼠径部に負担がかかり過ぎないよう、無理なく取れる位置でキープしまうす。足裏同士を合わせるのが難しい場合は、シンプルな仰向けのポーズでも大丈夫です。
<チャイルドポーズ>
ボルスターを使ってチャイルドポーズを行うと背面の緊張がとけ、背中まで呼吸が入りやすくなります。うつ伏せになることで安心感も得られるポーズです。
- 正座になり、ボルスターを抱えるように上半身を前に倒す
- 首は左右好きな方へ向ける
- しばらくそのまま過ごす
お尻が浮いてしまう場合は、ブランケットやタオルを敷いて高さを出すと、無理なくポーズが取れます。
リストラティブヨガで本来の自分を取り戻そう
リストラティブヨガは心身共にリラックスし、本来の自分に立ち返る効果が期待できます。毎日頑張っていると、知らないうちにストレスが溜まっていることもあるでしょう。疲れや不調が続いているなら、休息が足りないのかもしれません。リストラティブヨガは横になったままで行うポーズも多く、体に負担の少ないヨガです。ぜひ一度試してみてください。