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冷えは万病のもと【冷え性】による不調はどうしたらいい?

冷え性は女性に多い悩みですが、近年男性にも増えています。薬を飲めば治る病気と違い、冷え性のケアは長期的な視点で行うことが大切です。今回は、冷え性のタイプとその対策、体を温める工夫について解説します。

 

冷えによる不調、なんとかしたいですよね?冷え性は体質だとあきらめずに、できるところから取り組んでみませんか?



冷え性とは

冷え性とは、血行が悪くなることであらわれるつらい状態をさします。ただの冷えと侮ってはいけません。自覚のある・なしに関わらず、冷えは多くの不調につながります。

  • 抜け毛や白髪
  • くすみやたるみ、シワ
  • クマやむくみ
  • 不眠
  • 肩こり
  • 月経不順
  • 頭痛や腰痛

体に不可欠な酸素や栄養は、血液によって運ばれます。細胞に酸素と栄養が届きにくくなれば、細胞は正常に働くことができません。「冷えは万病のもと」ですから、早めに改善する必要があります。

冷え性のタイプと対策

冷え性だと自覚のある人は、どの部分の冷えが気になりますか?お腹、手足、体全体、どこが冷たいですか?

 

実は、体の冷えを感じる部分によって効果的な対策は異なります。日本で初めて冷え性外来をはじめた伊藤剛医師によると、冷え性は4つのタイプに分類されるそうです。伊藤医師による分類と対策方法をまとめてみました。

(参考:伊藤剛 冷え症と自律神経

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/1/59_10/_pdf

<下半身型>

腰から下が冷える。お尻やふくらはぎの血行不良が原因。40代以降の人やデスクワークなど同じ姿勢を続ける人に多い。

【対策】ウォーキングなどで下半身を動かす。お尻の筋肉をマッサージする。こまめにストレッチをする。

 

<四肢末端型>

手足が冷える交感神経が過剰に働いて、手先や足先の血管が収縮することが原因。体の熱量不足。痩せている人や若い女性に多い。

【対策】筋肉量を増やすためにタンパク質を摂る。ラジオ体操のような全身をバランスよく動かす運動をする。

 

<内蔵型>

手足は温かいがお腹は冷たい。交感神経の働きが弱いことが原因。交感神経の働きが弱いため、末梢血管が収縮せず熱を放出しつづけてしまう。お腹を下すこともある。体の表面は温かいため汗をかきやすい。30代以降に多い。

【対策】体の熱が逃げやすいため、保温できる服装をする。ウォーキングやランニングなどの全身を動かす運動をする。

 

<全身型>

寒気を感じるほどの冷え。ストレスや生活習慣の乱れによる、基礎代謝の低下が原因。何をしても体が温まらない。まれに病気が潜んでいる可能性があるため、心配な場合は医療機関へ相談する。

【対策】体を保温できる服装をする。生活リズムを整え、運動を習慣化して代謝アップをめざす。

 

各タイプが混合している場合もありますが、対策として体を動かす点は共通しています。適度な運動は冷えにも効果的。ヨガやストレッチもおすすめです。

体を温める工夫をしよう

自分の冷え性のタイプがわかって対策をはじめても、すぐに冷えが解消されるとは限りません。とくに、乱れた自律神経を整えるのにはしばらく時間が必要です。改善されるまでは日常的に体をあたためる工夫をすると、心と体が楽になります。

 

冷え対策に有効なのは、血流をよくすること。また、血流が悪くなる行動をしないことです。

(1)体を温める

体が冷えるとますます血行が悪くなるため、しっかりと体を温めます。首・手首・足首を出さないようにすると、体の熱が逃げにくくなります。特に首は皮膚の近くに太い動脈があるため、マフラーやハイネックなどの首が隠れる服がおすすめです。

 

また、カイロを上手に活用しましょう。仙骨の上や肩甲骨の間に貼ると、温かさが持続します。仙骨とは、腰の後ろにある逆三角形の形をした骨です。仙骨には血管や神経が集まっているため、この部分を温めると体全体が温まりやすくなります。同様に、肩甲骨の間には太い血管が走っているため、上半身の血行が良くなります。しかも、この部分を温めることは肩や背中のコリにも効果抜群です。

 

冷たい食べ物は控えめにする・腹巻やひざ掛けを使うといった定番の冷え対策も継続してください。

 

(2)ツボを押す

ツボ押しも冷え対策におすすめの方法です。道具もお金もかからずできるので、ぜひ試してみましょう。ツボ押しの痛気持ち良い感覚が好きな人もいますが、やりすぎは禁物です。

 

<下半身の冷え>

お尻にある「臀中(でんちゅう)」を押すのがおすすめ。仰向けに寝てゴルフボールをお尻と床の間に入れると簡単です。

参考サイト:マッサージボールで筋膜リリースしよう!おすすめな使い方や効果についてご紹介(おしりをほぐす使い方)

 

 

 

<手先・足先の冷え>

足先にある「八風(はっぷう)」を刺激するのがおすすめ。座って手の指と足の指を握手するように握る→離す、を繰り返します。

<お腹の冷え>

おへそから指4本分下にある「関元(かんげん)」がおすすめ。別名「丹田」ともいいます。この部分にカイロを張って温めると、生理痛がつらいときにも効果的です。

 

(3)生活習慣を見直す

血行を悪くする行為は、日常生活の中に隠れています。

  • 食生活の乱れ
  • ストレス
  • 運動不足
  • 睡眠不足

特に、ストレスと睡眠不足は要注意。交感神経の働きが過剰になり、血管を収縮させることで血行不良になりやすくなります。上記にあげた例は自律神経を乱れさせる原因でもあるため、できるところから改善していきましょう。

 

冬本番になる前に対策をはじめれば、例年より体の冷えが和らぐ可能性があります。冷え性は「今の生活を見直そう」というサインかもしれません。大きな不調や病気につながらないうちに、いま行動することが大切です。