「最近、なんとなく体が重い」「朝起きてもすっきりしない」「頭がぼんやりする」
梅雨が近づくとこんなことを感じませんか?現代医学の検査では「異常なし」といわれても、体はたしかにシグナルを送っています。そのサインを丁寧に読み解いてくれるのが、東洋医学の視点です。
<目次>
東洋医学における「湿邪」って何?
東洋医学では、体の不調を引き起こす外的な要因を「邪気」と呼びます。邪気には風・寒・暑・湿・燥・火の六つがあり、そのうちのひとつが「湿邪(しつじゃ)」です。湿邪は湿気が体に悪影響をおよぼす状態を指します。
湿邪の特徴は、重くて下に溜まりやすいことです。水が低いところへ流れるように、湿邪も体の下半身や消化器系に影響を与えやすいとされています。
こんな症状は思い当たりませんか?
体が湿邪の影響を受けているとき、こんなサインが出やすいといわれています。
- 体や頭が重だるい
- 朝、なかなかすっきり目覚められない
- 足やまぶたがむくみやすい
- 胃がもたれる、食欲がわかない
- 雨の日や湿度が高い日に、体調が崩れやすい
- 頭痛や関節の痛みが出やすい
これらの症状に共通しているのは、どれも「体の中で水のめぐりが滞っている」ことが背景にあるという点です。
東洋医学では、体の中に「気・血・水(き・けつ・すい)」という三つの要素が流れていると考えます。このうち「水」のめぐりが滞ると、湿邪の影響はさらに広がっていきます。
水のめぐりが滞ると、まず影響を受けやすいのが「脾(ひ)」です。脾は西洋医学でいう消化器系に近い概念で、食べたものから栄養をつくり、全身に届ける役割を持っています。
脾が弱ると体内に余分な水分や老廃物が溜まりやすくなり、それがむくみ・だるさ・消化不良といった症状として現れてくる——これが「湿邪」による不調のメカニズムです。
つまり、日々感じるなんとなくの不調は、体がめぐりの滞りを知らせているサインともいえます。なお、東洋医学においては、湿邪による体調不良を「水滞(水毒)」と呼んでいます。
現代の生活習慣が体調不良を悪化させている
湿邪は外からの湿気だけでなく、日々の生活習慣によって体の内側からも生まれると考えられています。
例えば、冷たい飲み物や食べ物のとりすぎは、脾を冷やして水のめぐりを滞らせます。暑い季節はついついアイスコーヒーや冷たいスムージーを手に取りがちですが、これが内側から湿邪を生む大きな原因のひとつ。甘いものや脂っこいもの、生ものの食べすぎも、脾に負担をかけやすい食習慣です。消化に時間がかかるものを続けて食べると、体の中で湿が生まれやすくなります。
また、運動不足と長時間の座り仕事も見逃せません。体を動かさないと気血のめぐりが滞り、水分代謝が落ちていきます。デスクワーク中心の生活は、湿邪を溜め込みやすい土台をつくる要因となります。
外の湿気と内側からの湿。この二つが重なる梅雨の時期は、特に体への影響が大きくなりやすいため、注意が必要です。
あなたはどのタイプ?湿邪の出方をチェック
湿邪の影響は、人によって出方が少しずつ異なります。自分がどのタイプかを知り、体のケアにつなげましょう。
(1)水太りタイプ
むくみやすく、体が重い。冷えを感じやすく、雨の日に特に不調が出やすい傾向があります。温めることと、水はけをよくすることが鍵となります。
(2)ねっとり熱タイプ
体がほてりやすいのにむくみもある。口の中がねばねばしたり、吹き出物が出やすかったりします。熱と湿が混ざった「湿熱」の状態で、辛いもの・脂っこいものを控えることが大切です。
(3)気力不足タイプ
だるさや胃の重さが目立つタイプ。食欲がわかず、消化が遅い感じがします。脾に負担がかかりやすいため、食事を整えて休息することから始めましょう。
どのタイプも、体が何かを伝えようとしているというサインです。ヨガの練習の前後に、少しだけ体の声に耳を傾けてみてください。今日の体はどこが重い?どこかが詰まっている感じがする?こんなセルフチェックの習慣が、東洋医学的なケアへの入り口になります。
不調を丁寧に扱おう
「なんとなく体が重い」「すっきりしない」。そんな体の小さなつぶやきを、言葉で理解する手助けをしてくれるのが東洋医学です。体からのサインを見過ごしてしまうのは、せっかくの気づきを逃すことになります。
体の声に、少しだけ立ち止まって耳を傾けてみませんか?ヨガで磨いてきた体を感じる力は、そのまま東洋医学的なセルフケアにも自然につながっていきます。梅雨本番が来る前に、まず自分の体と向き合うことからはじめてみましょう。
