なぜか朝から体が重い、急に肌荒れがひどくなる、気分が落ち込んで趣味が楽しめない。
季節の変わり目は、このような心身の不調に見舞われやすいと言われていますが、実はこれらの症状は自律神経の乱れが原因かもしれません。
自律神経とは、自分の意思とは関係のないところで私たちの体を動かしている神経です。
自律神経は体の調子だけではなく、肌のエイジングやメンタルにも影響を与えるため、美容が気になる方にもぜひ整えていただきたい神経です。
今回は、自律神経が乱れてしまう原因や、乱れてしまった自律神経を整える方法について紹介します。
<目次>
自律神経とは?
自律神経とは、私たちの呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、など生きていく上で欠かせない働きの調整を行っている神経です。
たとえば、私たちの平熱は外気温などの季節の変化に関係なく36℃から37℃で保たれていますが、これは自律神経が外気温に合わせて血流や心拍数の調整を行うことで、体温を一定に保つことができているからです。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立っています。1日の中で交感神経と副交感神経が環境に合わせて自動的に切り替わることで、日々私たちは生活しています。

季節の変わり目はなぜ自律神経が乱れやすいの?
自律神経である交感神経と副交感神経は、体のバランスを保つために周りの環境に合わせて常にオンとオフを繰り返しています。
そのため、季節の変わり目のように朝晩の寒暖差があったり、低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わることで天候が安定しない時期は、1日の中で何度もスイッチのオンオフを繰り返します。だんだん交感神経と副交感神経のバランスが上手く保てず結果として体調を崩しやすくなったり…
このように気候によって体に不調がでることは「気象病」とも呼ばれています。
自律神経の乱れで体の老化=エイジングは加速するので要注意!
交感神経と副交感神経は、全身をめぐる血液の量を調整することでそれぞれのスイッチが切り替わるように。
交感神経がメインになる時は、血管が収縮して体を緊張状態にします。一方で、副交感神経がメインの時は、血管が拡張することで体の血流がアップして、体の緊張をほぐします。
この血管の収縮と拡張がバランスよく行われることで、体の調子は整えられるのですが、とくに1日の中で交感神経がメインの時間が長い場合は注意が必要!
交感神経は1日をアクティブに過ごすために重要な神経です。
ですが、過度なストレスや緊張により優位の状態が続くと、全身の血流の低下を招いたり、呼吸が浅くなってしまったりと体全体の不調を引き起こす原因となります。また、血流の低下により、細胞の隅々まで新鮮な血液や十分な酸素が行き渡らなくなってしまい、細胞の新陳代謝を遅らせてしまう要因になることも!
肌の新陳代謝が低下すると、古く乾燥した細胞が肌から排出されない状態が続くため、乾燥によるシワやたるみ、くすみやシミといったエイジングサインがより早く目立つようになる場合がありますので要注意です。
自律神経を整えるために積極的に摂りたい栄養は?
自律神経は、交感神経と副交感神経がどちらもバランスよく働くことが重要であり、どちらか一方ばかりが優位にならないように意識して調整するのが大切です。
手軽に始められる調整方法として、毎日の食事で、サポートしてくれる栄養を取り入れる方法があります。今回は、自律神経の乱れを感じる時こそ積極的に取り入れたい栄養について紹介します。
動物性タンパク質
動物性タンパク質には、自律神経の原料となる必須アミノ酸が含まれており、健康な自律神経の合成に欠かせない栄養です。
動物性タンパク質を多く含む食品:肉(とくに鉄分も一緒にとれる牛肉)、魚、卵、乳製品

GABA(γ‐アミノ酪酸)
GABAとは、興奮した脳や精神を鎮めてくれる神経伝達物質のことで、体の緊張をほぐしリラックスした状態に導く副交感神経を活性化させる働きがある物質です。
近年では、デスクワークなどの一時的なストレス状態を緩和する効果が期待できることから、GABAが配合されたチョコレートやドリンクをコンビニで見かけることも増えてきました。
GABAを多く含む食品:カカオ、発芽玄米、トマト、かぼちゃ、キムチ、納豆
ビタミンB6、ビタミンB12
ビタミンB群は、自律神経のサポートには欠かせない栄養です。
とくに、ビタミンB6は交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えに欠かせない、神経伝達物質の合成になくてはならない成分。また、ビタミンB12は「神経のビタミン」と呼ばれている成分で、自律神経をはじめとした神経細胞の保護と修復を担い、神経細胞が正常に働くために欠かすことのできない成分です。
ビタミンB6を多く含む食品:かつお、さば、モロヘイヤ、玄米、ししとう
ビタミンB12を多く含む食品:しじみ、あさり、青魚、鮭、卵黄、牛レバー、焼き海苔
トリプトファン(必須アミノ酸)
メンタルケアには欠かせないトリプトファンは、日中はストレスに対抗するためのホルモンであるセロトニンに変化し、夜は安眠に導くメラトニンに変化する成分です。
とくに、セロトニンは、脳が緊張したりストレスを感じる際に、脳を興奮させる神経物質であるノルアドレナリンやドーパミンの働きを制御し、自律神経のバランスを整えようとします。
そのため、セロトニンが体内で不足してしまうと、体が緊張した状態が続いてしまうため、頭痛やめまいの原因になるので注意が必要!
トリプトファンが多い食品:牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、納豆、卵、バナナ

マグネシウム
必須ミネラルの一つであるマグネシウムは、血管を拡張させ交感神経の働きをおだやかにする効果が期待できる成分です。
さらに、幸せホルモンであるメラトニンの合成を促す効果もあり、自然の精神安定剤とも言われることも。ただし、腎機能が低下している方は、マグネシウムを過剰摂取してしまうと体への負担が大きくなるので注意しましょう。
マグネシウムを多く含む食品:キヌア、そば、きなこ、あおさ、ごま、干しエビ
自律神経を味方につけて心身ともに身軽になりましょう
ここまで、季節の変わり目の不調の原因となる自律神経の働きについて紹介しました。
お伝えしている通り、自律神経は交感神経と副交感神経の両方バランスよく働くことが大切です。
ですが、現代はスマートフォンやパソコンといった電子機器を使う頻度が高く、これらの電子機器は交感神経のスイッチをオンにしやすいことから、交感神経が優位になりやすいと言われています。
今の生活の中でこれらの電子機器から離れることは中々難しいですよね。
ですので、日々の体づくりに欠かせない食事の中で、自律神経のバランスを整えるよう意識してみてはいかがでしょうか。
