運動不足だったり年齢を重ねたりすると、足が高く上がらなくなって階段が上りにくく感じたり、足が引っかかってコケたりすることが増えた人も多いのではないでしょうか。
階段を上るように、足を上げる動きは「腸腰筋」の働きによるものです。腸腰筋が弱くなると足を上げる動きが辛く感じるようになります。
そこで今回は、腸腰筋のストレッチやトレーニング方法について紹介するので、階段を軽やかに上れるようになりたい人は参考になさってください。
<目次>
階段が上りにくくなる
腰痛になる
猫背になる
アンジャネヤーサナアレンジ
エクステンドチャイルドポーズ
虎のポーズアレンジ
ナバーサナアレンジ
腸腰筋とは
腸腰筋は、腰椎(背骨の中で腰の位置)や腸骨(骨盤)の手前側から大腿骨(太もも)の上部にかかっている筋肉です。
腰椎から伸びている筋肉は「大腰筋」、腸骨から伸びている筋肉は「腸骨筋」といい、2種類を合わせて「腸腰筋」と呼びます。
丁度そけい部の辺りを通っているのが特徴です。
足を高く上げたり前屈したりなど、足の付け根を折り曲げる動きは、腸腰筋の強さによってやりやすさが異なります。
また、骨盤の前後の傾きを整える働きもあるので、腸腰筋は姿勢にも大きく関わっています。
腸腰筋が弱く・硬くなるとどうなる?
腸腰筋が弱くなったり硬くなったりすると、下記のような不調が現れます。
- 階段が上りにくくなる
- 腰痛になる
- 猫背や反り腰になる
ここからは、それぞれの不調について詳しく解説します。
階段が上りにくくなる
階段を上るには腸腰筋を縮めなければなりません。
筋肉は基本的に、縮めるときに筋力が必要なので、腸腰筋の筋力が弱くなると縮めるのに大きな負荷を感じます。
そのため、階段を上る際にいつも以上に疲れを感じたり、足がきちんと上がらないためつまずきやすくなったりする可能性があります。
怪我のリスクにもつながるので、腸腰筋のトレーニングがおすすめです。
腰痛になる
腸腰筋は腰や骨盤から手前を通り太ももの骨についています。
筋肉は硬くなると縮みやすくなる性質があるため、腸腰筋が硬くなると足の付け根が折れ曲がるように骨盤が前に倒れます。
立ち姿勢の場合、前に骨盤が引っ張られた分バランスをとるために背中が後ろに引っ張られるため、反り腰の姿勢になりやすいです。
反り腰は腰に大きな負担がかかるため、腰痛の原因になります。
猫背になる
腸腰筋が弱くなると、骨盤を前に引っ張る力が弱くなるため、硬いときとは反対に骨盤が後ろに倒れやすくなります。
すると腰から背骨全体が丸まり、猫背になってしまいます。
背骨の腰部分が丸まると、姿勢が乱れるだけでなく肩こりやヘルニアの原因になる可能性が高いです。
まずは腸腰筋ストレッチで反り腰を改善
腸腰筋を鍛える前に、まずはストレッチで柔らかくしておきましょう。
とくに反り腰の人は、硬くなっていることが原因のケースが多いので、ストレッチがおすすめです。
ここからは、アンジャネヤーサナのアレンジで腸腰筋ストレッチのやり方を説明していきます。
アンジャネヤーサナアレンジ
アンジャネヤーサナは、腸腰筋ストレッチの代表的なポーズです。骨盤の歪みも調整できるので、反り腰や腰痛に悩んでいる方におすすめです。
- 肩の真下に手首、おしりの下に膝が来る位置で四つ這いになる
- 右足を手と手のあいだに1歩出す
- 左のつま先を立てて膝を後ろに引き、左の鼠径部が伸びるところで止まる
- 両手を腰に添えて起き上がる
- 右足付け根を引き込んで骨盤を正面に向ける
- おしりの穴を床に向けるようにして腸腰筋を伸ばす
- 前膝がかかとの上に来るまで踏み込む
- 足の位置を変えずにお腹を前ももから離し、さらに腸腰筋を伸ばす
- 体を垂直に保ったまま重心を下に沈めて呼吸する
ここでは、両手は上げなくても大丈夫です。腸腰筋を伸ばしたいので、骨盤を立てたまま真下に沈む意識で行いましょう。
どうしても骨盤が倒れて腰が反ってしまう場合は、前足を1歩自分の方に戻して調節します。
階段を上りやすくするなら腸腰筋トレーニング
ストレッチで腸腰筋が伸ばせたら、トレーニングに移りましょう。腸腰筋トレーニングにおすすめなヨガポーズは以下の3つです。
- エクステンドチャイルドポーズ
- 虎のポーズアレンジ
- ナバーサナ
ここからは、それぞれのやり方について説明していきます。
エクステンドチャイルドポーズ
エクステンドチャイルドポーズは、普通のチャイルドポーズよりもそけい部を引き込んで脇腹を真っすぐに伸ばします。
四つ這いと交互に行うことで、腸腰筋のトレーニングになるでしょう。
やり方
- 四つ這いになったら、おしりはかかと、お腹を前ももに下ろしてチャイルドポーズになる
- おしりをかかとにのせたまま両手を前に歩かせる
- 脇腹を伸ばして鼠径部からおしりを後ろに引き込む
- 状態を前にスライドして四つ這いに戻る
- 四つ這いから足の付け根を引き込んでおしりを突き出しながらエクステンドチャイルドポーズに戻る
簡単に見えますが、腸腰筋を意識しやすいので初めて腸腰筋トレーニングをする人におすすめです。
腸腰筋は使っている感覚がわかりにくい筋肉でもあるので、ただ折り曲げるだけでなく「引き込む」ことを意識して鍛えましょう。
虎のポーズアレンジ
虎のポーズは、本来体幹を鍛えるのに効果的なポーズです。
しかし、アレンジを加えることで腸腰筋のトレーニングもできます。やり方は以下の通りです。
やり方
- 四つ這いになる
- 右のつま先を立てて後ろに足を伸ばし、かかとをおしりの高さまで上げる
- 左手も前に伸ばす
- 骨盤の高さを揃えるのに右の太ももを内回しかける
- 息を吐きながら肘と膝をくっつけるように背骨を丸める
- とくに膝をおでこや鼻先に近づけるように足の付け根を折り曲げる
- 息を吸いながら手足を伸ばす
なるべく前ももをお腹に近づけるように意識すると、腸腰筋を使いやすいです。
バランスがとりにくい場合は、両手をついて足だけの動きから行いましょう。
余裕が出てきたら片手に戻し、お腹の力を使いながらバランスを保つのがおすすめです。
ナバーサナアレンジ
ナバーサナは、腸腰筋を使うヨガポーズとして非常に有名です。
お腹を使うポーズと思われがちですが、腸腰筋がなければできません。
そのため、上記2つのポーズで余裕がある場合にチャレンジしてみましょう。やり方は以下の通りです。
やり方
- 膝を90°に立てて座り、両手を後ろにつく
- おしりも90°にし、肩の真下に手首が来る位置2セット
- 手で床を押して背筋を斜め45°に伸ばす
- おしりを前に転がして腰を真っすぐにしたらお腹に力を入れる
- 腸腰筋を縮めるよう意識しながらすねを床と平行まで上げ、かかとを前に押し出す
- 上半身はそのままで、膝を胸に寄せて戻す動きを繰り返す
本来は手で足の親指をつかんで膝を伸ばすのが完成形です。
しかし、腸腰筋がない人がフルでポーズに入ると腸腰筋を縮められず猫背になってしまいます。
そのため、ここでは腸腰筋によりアプローチをかけやすいアレンジでトレーニングしましょう。
どうしても背中が丸くなってしまう場合は、かかとがついた状態からスタートし、すねをゆかと水平に上げたりかかとを着けたりする動きを繰り返すのがおすすめです。
階段が上りにくいなら腸腰筋を鍛えてみよう!
今回は腸腰筋について、おすすめなストレッチやトレーニング方法を紹介しました。
階段が登りにくくなったり、何もないところでコケやすくなったりしている人は、腸腰筋の衰えが原因の可能性があります。
大きな怪我をする前に、腸腰筋ストレッチとトレーニングで動きやすい体を手に入れましょう。
