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朝晩の気温差7℃以上で起きやすい『寒暖差疲労』の原因と対策について紹介

『今期1番の冷え込み』という言葉が、連日聞かれるようになったこの頃。

 

冷え込みが厳しくなるにつれ、朝起きるのが辛い、頭痛に悩まされる、訳もなくイライラする、このような症状が気になっていませんか。これらの症状は『寒暖差疲労』と呼ばれる、気圧、温度、湿度などの変動によって起こる気象病が原因かもしれません。

 

天気の変化が、人の心や体に大きな影響を及ぼしていることが、最近の研究でもわかってきています。今回は、そのような気象病の1つである、『寒暖差疲労』の原因と対処方法について紹介します。



◇寒暖差疲労とは?

寒暖差疲労とは、1日の気温差が大きいと起こるといわれており、体温を調節する自律神経が乱れてしまい、様々な不調の原因となります。

 

気温差が7℃以上の場合に起こりやすいとされ、朝晩の寒暖差はもちろんのこと、外気と室内の温度差、前日との気温差でも起こるとされています。

 

特に日本の太平洋側の冬は、空気が乾燥し雲が少ない日は、地表の熱がどんどん宇宙に放出され、明け方に強い冷え込みをもたらす放射冷却現象が強まり、朝晩の寒暖差が大きくなることがあり注意が必要。

◇なぜ自律神経が乱れてしまうのか?

人には、外気の環境に関わらず、一定の体温(平熱)を保つ働きがあり、その体温調節をする際に使われるのが自律神経です。

自律神経には、交感神経と副交感神経の2つの神経があり、気温が低下しそれに伴い体温を上げる際には交感神経、気温の上昇と共に体温を下げる際には副交感神経が働き、それぞれの臓器に働きかけます。

 

そのため寒暖差が大きいと、1日の中で何度も、交感神経と副交感神経の働きを切り替える、レバーの操作が行われることになり、そのことで自律神経の働きが乱れてしまい、不調を招く原因となってしまいます。

◇寒暖差疲労による主な症状

寒暖差疲労の主な症状は次の通りです。

  • 肩こり、腰痛などの関節痛
  • 頭痛
  • 不眠
  • だるさ
  • 耳鳴り
  • 食欲不振、下痢などの胃腸障害
  • イライラ、気分の落込み(うつ)
  • 冷え、むくみ
  • くしゃみ、咳といったアレルギー症状

肉体的な疲労により、上記のような症状が出ている場合は、休息を取ることで症状の改善がみられますが、寒暖差疲労の場合は、睡眠やマッサージといったケアだけでは、解消することが難しいのが特徴です。

◇寒暖差疲労を改善するための方法

寒暖差疲労をケアするには、体温調節のレバーの役割を担う、自律神経の働きを整えることが大切です。今回は自宅で簡単に行える4つのケア方法を紹介します。

 

●温かい食事を取る

 

自律神経の働きを整えるには、胃や腸などの内臓の体温を上げることが大切です。

 

体内部の温度は深部体温と呼ばれ、食事を取ることで上昇することがわかっています。

 

さらに、深部体温を上げる効果が高いと言われているのがタンパク質の摂取です。そのようなタンパク質である豚肉と、しっかり咀嚼ができ体を温める作用のある、根菜類を使った豚汁は、特に寒い日のメニューにおすすめ。

 

出典:【2022年】体温上昇と食事の関係とは?メカニズムや食事のポイントを解説!

 

●全身浴

 

私たちの体には、褐色脂肪細胞と呼ばれる細胞があり、この細胞には多くの神経が存在しています。そのため、褐色脂肪細胞を活性化させることで、自律神経の働きが整い、寒暖差疲労軽減効果が期待できます。

 

褐色脂肪細胞は、首・肩甲骨周り・脇などの背中側に密集していると言われており、褐色脂肪細胞を活性化させるためには、この部分を温めることが大切。そのため、寒暖差疲労の軽減には、首から下がお湯に浸かる全身浴がGOOD!

 

●耳周りのマッサージ

 

寒暖差疲労の要因として考えられ、天候が原因で起こるとされている気象病。これら気象病が起こるメカニズムには、「内耳」が関係していることが、近年わかってきました。

 

内耳とは、耳の鼓膜の奥にある器官で、耳から受けた情報を脳に伝えるセンサーの働きをします。この内耳周りの筋肉が、冷えによって硬くなると、内耳を満たしているリンパ液の循環が悪くなり、内耳センサーが正常に働きにくくなり、めまいや頭痛といった不調の原因となります。

 

内耳センサーを正常に作動させるためには、耳周りの筋肉の緊張をほぐし、血行を促進させるのがポイントに。耳の中間をつまみ、軽く横に引っ張るマッサージが効果的ですので、1日3回を目安に行ってください。

 

出典:35.『気象病』に備える | 一般財団法人 京浜保健衛生協会

 

●過度な暖房を控える

 

冬になると冷えを解消するために、暖房をつけることが多くなりますが、実はその暖房が原因で自律神経が乱れてしまうことがあります。

 

暖房によって発生した熱は、体の中に入った後、手や足からは徐々に熱が逃げていきますが、体幹や頭部には熱が残り、特に自律神経の中枢がある頭部では、たまった熱によって、自律神経の働きが乱され、様々な不調の原因になることも。

 

冷えを感じる際は、衣服などでその都度調整し、頭部に熱がたまらないよう注意しましょう。

◇自律神経のトレーニングで寒暖差疲労を予防しましょう

ここまで、季節の変わり目に起きやすい寒暖差疲労の原因と、自宅でできる対処方法を紹介しました。

 

原因が天候のため、一度抱えてしまうと連日不調を感じてしまう寒暖差疲労。ですが、日常生活の中で意識して寒暖のリズムを作り、自律神経をトレーニングすることで、寒暖差疲労に負けない体作りをすることは可能です。

 

昼間はこまめな換気で、外気に触れてあえて体を冷やしたり、夜は温かい飲み物を飲むことで内臓を温めたりと、1日の中で意識的に寒暖差をつけることが、自律神経のトレーニングになります。
その際には、急激な温度変化は寒暖差疲労につながってしまうので、ゆるやかな寒暖差になるよう心がけましょう。