· 

アーユルヴェーダから学ぶおすすめ食材〜冬編|冷えを感じる冬におすすめのメニューを紹介

街路樹の葉も赤や黄色に色づき、徐々に季節は冬に向かって移ろいでいることを感じますね。アーユルヴェーダにおいて、冬は「地上を冷やす月の力が1年のうちで最も強い」と言われており、厳しい寒さが私たちの生活を支配すると考えられています。

 

さらに冬は、外気温が下がるのに伴い、体内部の体温が奪われ低体温になるのを防ぐため、体がたくさんのエネルギーを消費する時期です。体を労り英気を養うと、次の春が過ごしやすいと言われる冬。体に必要な栄養をしっかりと取り、次の新しい1年に向けて準備することが大切です。

 

今回は、日々寒さが増してくる冬を乗り切るための、アーユルヴェーダ的冬のおすすめ食材をご紹介します。



◇冬はアーユルヴェーダにおけるヴァータ(風)の影響が強まる

アーユルヴェーダでは、人は生まれつき生命エネルギー「ドーシャ」を持つとされており、そのドーシャはヴァータ(風)・ピッタ(火)・カパ(地)と呼ばれる3つの要素から構成されています。ドーシャは、生まれつきその人が持っている、バランスを保つことが大切だと言われています。その3つのドーシャの中でも、冬はヴァータが高まる傾向に。ヴァータが持つ風と空気の性質が優位になると、体が軽くなります。体が軽くなると、食欲が増し体力も戻るのですが、同時に冷えや乾燥も感じることに。もともとヴァータが優位な人はますます助長され、体の不調が生じやすくなります。また、どの体質の人にも共通するのは、年齢を重ねるにつれてヴァータが強まっていくということです。

◇冬は睡眠の質を高める食事が大切

冬は、熱の熱を生み出すためのエネルギーを多く消費するため、疲れやすくなります。また、寒さで免疫力が下がりやすいので、毎日睡眠をしっかり取って体力回復を図ることが大切です。睡眠の質を上げるために、脳や神経を落ち着かせ、体をリラックスさせる働きを持つ食材を食事に取り入れましょう。

◇アーユルヴェーダ的冬のおすすめ食材

体を潤して温める生活習慣が大切だとされる冬。アーユルヴェーダでは、冬はアグニ(消化力)が高まる季節なのです。高カロリーで油性の食事、甘味、塩味、苦味、辛味、酸味の強い食事を摂ることが推奨されています。ここからは、冬に取り入れたいおすすめ食材を紹介します。

 

●白菜

鍋料理など、日本の冬の食卓には欠かせない白菜。野菜の中でも甘味が強く、水分を多く含むため、体の内側から乾燥ケアができることから、積極的に取り入れたい食材です。さらに、白菜に含まれる豊富なビタミンCは、免疫力を高める作用があるため、風邪予防にも効果的。ただし、白菜自体のカロリーはあまり高くないため、肉や魚といった食材と一緒に調理するのがおすすめ。

●レンコン

晩秋から冬にかけて旬を迎えるレンコン。レンコンに含まれる、ムチンと呼ばれる粘り気のある成分は、粘膜の炎症を抑え、荒れた胃の粘膜を修復する働きがあります。また、レンコンは加熱することで、血の巡りの改善効果が期待できるため、熱を生み出すため血流が増える冬に取りたい食材です。さらに、早い人だと1月ごろから始まる花粉症の症状の緩和が期待できる、タンニンというポリフェノールが、レンコンには多く含まれています。

 

●柚胡椒

ヴァータが優位になる冬の時期には、ヴァータを鎮める効果のある塩味・酸味・辛味を、食事に取り入れることが推奨されています。そこでおすすめなのが柚胡椒。柚胡椒には塩味を補う塩、柚の酸味、唐辛子の辛味が含まれており、ヴァータを静める効果が期待できます。

 

●チーズ

アーユルヴェーダでは、牛乳は最上の食品に位置付けられ、薬としても処方される食品です。乳製品のタンパク質に含まれる、チロシンというアミノ酸は、幸福ホルモンと呼ばれるドーパミンの分泌を活性化させる効果が期待できます。日照時間が減り、精神的な不調を感じやすい冬。ドーパミンを増やす乳製品の中でも、高タンパクで塩味の強いチーズが特におすすめ。

 

◇体の調子を整えるおすすめレシピ

●寒さや疲れで寝付けない時

 

《練りゴマホットミルク》

 

月の放射冷却の影響で、大地が冷気に支配される冬の夜は、寝付きにくく、夜中も目が覚めやすい時期です。安眠できる環境を整えるには、体を緩め血流をアップさせる副交感神経の働きを促すことが重要。副交感神経の働きを助けるレシピとして、温めた牛乳に練った黒ゴマを入れて飲む、練りゴマホットミルクがおすすめです。牛乳に含まれるカルシウムには、神経細胞の興奮を抑え副交感神経の働きを優位にする効果があります。また、ゴマは同じく神経を静め、心を安定させる素材として、アーユルヴェーダでは欠かせない存在です。寝付けない夜の飲み物としてぜひ取り入れてください。

 

●肌の乾燥を感じる時

 

《サンバル(南インドのスープカレー)》

 

ヴァータの影響で体が軽くなり、体内の乾燥も進む冬場は、食事からもたくさんの水分を補給することが大切です。ですので、冬の食事には毎食スープをつけるのがおすすめ。その中でも、サンバルと呼ばれるスープカレーはぜひ試してみたい1品。サンバルとは、南インドを代表する料理で、日本のみそ汁のように日常的に食べられているメニューです。数あるインドカレーの中でも、酸味が強いのが特徴です。酸味の強いトマトをはじめ、にんじんやかぼちゃといった、秋冬に甘味の増す野菜がたくさん入っているのも特徴。サンバルでは、タマリンドと呼ばれる豆を煮出したエキスを使用しますが、手に入らない場合は、梅干しでも代用が可能です。

◇生活習慣を冬モードにして厳しい寒さを乗り越えましょう

ここまで、アーユルヴェーダの考え方に基づいた、冬のおすすめ食材をご紹介しました。冷えや乾燥の原因となる、ヴァータに打ち勝つためには「体を潤して温める生活習慣」を心がけることが大切です。ですので、食事だけではなく、オイルを使ったマッサージや長めの入浴も、冬の寒さに負けない強い体をつくるために積極的に行っていきましょう。