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「自律神経を知って体調管理に役立てる」自律神経とは?

1.自律神経とは

自律神経とは、私たちの体のリズムをつかさどるシステムのことです。昔から人間は「昼間の明るい時間は活動し、夜の暗い時間は眠る。」というリズムで生活してきました。この活動時間と休息時間がスムーズに切り替わるよう、自動的に働いているのが自律神経です。

 

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立っています。交感神経は昼間に優位になる(活発になる)神経です。交感神経が優位になると、心臓が全身に血液を送る機能が促進されます。その結果、

・体温が上がる

・血圧が上がる

・心拍が早くなる

・汗をかく

など、体が活発に動くようになります。

 

一方、副交感神経は、夜間優位になる(活発になる)神経です。交感神経とは反対に

・体温が下がる

・血圧が下がる

・筋肉が弛緩する

・眠くなる

など、体をリラックスした状態に導きます。

 

交感神経と副交感神経が環境に合わせて自動的に切り替わる中で、日々私たちは生活しています。自律神経は、交感神経と副交感神経がバランスを取りながら働いていることを覚えておいてくださいね。

2.なぜ自律神経が大切か

ここで、少し考えてみましょう。もし、眠るとき交感神経が優位だったら、ぐっすり眠れるでしょうか?また、これから仕事をするぞというときに副交感神経が優位だったら、仕事がはかどるでしょうか?良い結果を残すことができるでしょうか?

 

自律神経は、私たちが考える以上に体調や生活の質、仕事のクオリティに影響を与えます。最も大切なのは、自律神経がバランスよく働くこと。寝るときは副交感神経が優位に、活動をしているときは交感神経が優位にならなければ、パフォーマンスの質が下がってしまいます。つまり、体調の良い状態をキープし、元気に生活するためには、自律神経を整えることが必要なのです。

 

重大な役割を担う自律神経ですが、ひとつ残念な特徴があります。それは現代生活においては「乱れやすい」ということです。 自律神経研究の第一人者である順天堂大学の小林弘幸教授も「自律神経は環境に敏感で、変化にとても弱い。ちょっとしたことですぐに乱れ、体調不良やメンタル不調の原因になる。」と述べています。(参考文献:結局、自律神経がすべて解決してくれる 著者:小林弘幸 出版社:アスコム  2021/7/17)

自律神経が乱れる原因は、具体的には次のようなものです。

・過度なストレス

・強いプレッシャーにさらされ続ける

・不規則な生活

・慢性的な睡眠不足

・偏った食生活

・更年期

思い当たるものはありませんか?仕事で成果を求められたり、夜勤のある仕事をしていたり、育児や介護で睡眠不足だったり、規則正しい生活を送ることが難しい人もいるでしょう。また、新型コロナウィルスの流行により、生活スタイルそのものに変化があったことも原因の一つです。多くの現代人は、自律神経のバランスが崩れやすい傾向にあるといえます。

3.体調不良の原因は自律神経?

自律神経は全身の器官に働きかけるため、自律神経が乱れたときの不調の出方は様々であるといわれています。不調の程度も個人差が大きいのが特徴です。

・全身がだるい

・ひどい肩こりに悩まされている

・めまいがする

・よく眠れない

・肌荒れが治らない

といった体調に関する悩みはもちろんのこと、

・不安で仕方がない

・気分が落ちこむ

・やる気が起きない

というような心の状態まで、いろいろな不調があります。これらの悩みに共通しているのは「つい我慢してしまう不調」であるということです。少しくらいの体調不良なら、普段と同じ生活を送る人が多いのではないでしょうか。誰もがおこりうる身近な不調であるがゆえに、つい後回しにしてしまいます。しかし、病院に行くほどひどくないと考えて、深刻な状態になってしまう人も少なくありません。最近ちょっとした不調が続いているなと感じたら、自身の生活習慣を振り返ってみましょう。自律神経の乱れにつながる要因があるかもしれません。

 

また、春は気候や生活環境の変化が多く、自律神経が乱れやすい季節です。入学や進級、就職や異動で新しい環境に身を置く人も多いでしょう。そんな小さなストレスの積み重ねが、心身の不調につながることもあります。では、一体どうしたらよいのでしょうか?実は、自律神経は自分で整えることが可能です。日々メンテナンスを行うことで良い体調を維持することができるなら、実践してみたいと思いませんか?次回は、自律神経を整えるためにおすすめの方法をご紹介します。